(投稿/みやみやさん)



前々からレストランのメニュー名が気になっている。
主にフレンチ。
なんというか、表現が独特なのだ。
例えばこんなのが普通に書いてある。

 南仏風 紅葉鯛のあぶり焼き
 キノコのリゾットと魚のスープで召し上がれ

これで一品の名前である。
「召し上がれ」まで含めてメニュー名、
というところにグッとくる。

こんなのもある。

 天使海老のガレット仕立て シブレットソース
 根セロリとリンゴのピューレを添えて

出た「添えて」。
接続助詞「て」で終わる、この独特な表現。
接続助詞なのに接続しないまま終わることで
醸し出される、なんともいえない余韻。
この「添えて」は居酒屋などのメニューにも使われているが、
発祥は高級フレンチなのではないか、と私は睨んでいる。
誰が最初に言い始めたのだろうか。

こういうのもある。

 エピス風味の柿のコンポートと
 黒ゴマアイスのデュオ 秋の森のイメージで

秋の森のイメージで・・・続きはなんだろう。
秋の森のイメージで「つくりました」か?
この言い切ってしまわない美学。
ちょっとおいてけぼりになりそうだ。

と、こんなことを言ってるが、
貧乏人の私はこのような料理を
ほとんど食べたことがない。
上のメニュー名もネットで探してきたものだ。

ふと思ったのだが、
普通の料理にもこういう高級そうな名前をつけたら、
多少豪華な気分で食事ができるのではないだろうか?

我々庶民も高級な気分を味わってみたい。
突然だが、ちょっと実験してみようと思う。

落差が大きいほど効果を実感できるはずなので、
なるべく貧相な料理をピックアップしてみる。
その貧相な内容に対して
いかに高級そうな名前を付けられるか、にチャレンジしたい。
題して、



私が研究したところでは、
「高級メニュー名」の特徴は
大きく以下の4点に集約される。

・やたらと長い。
・「〜を添えて」「〜で召し上がれ」など、独特の言い回しがある。
・庶民には馴染みのない食材名・調理名が出てくる。
・ときどき、意味が分からない。

これらの特徴を踏まえて、
いくつかの料理に名前を付けてみよう。

まずはこちら、「魚肉ソーセージ炒め」。



ちなみにこれ、1皿分の費用は20円。
庶民に優しいメニューだ。
これを高級っぽく言うとどうなるか。



なかなかいい感じではないか。
20円とは思えない。
魚肉ソーセージを「フィッシュミート」と
言い換えたところがポイントである。
また「磯の香り豊かな」といった冠言葉も
シズル感を出すためには有効だ。

続いてこちら。白菜の芯でつくったサラダ。



これを高級っぽく言うと。



「旬の香草」というのは、ここではパセリのことである。
パセリの旬がいつなのか知らないが、
一年中ずっと旬だろうということで押し通したい。
あと「自家製」というのは
ごまドレッシングにマヨネーズを少しだけ混ぜました、という意味である。
ちなみにこのメニュー、費用は15円。

デザートにだって応用できる。食パンの耳のスナック。



これを高級っぽく言うと。



イヤー風ブレッドスナック。
言い換えすぎだろうという声もあるかもしれないが、
相手はパンの耳である。
これくらいの冒険は必要だろう。

また「こだわり」「限定」など、
つくる側のさじ加減でどうとでもなる言葉も
非常に役立つので覚えておくとよい。

イヤー風ブレッドスナック。
タダ同然でつくっていることを忘れそうだ。

以上3点、なんとなくいい気分で食べられたような気がする。
我ながら自己暗示にかかりやすいタイプだ。
今後、さらに他のメニュー名も開発していきたい。

あなたもぜひご家庭の料理に
オリジナルの高級メニュー名を付けて
豪華な気分で食事をしてみてほしい。
主婦の方には特におすすめする。
例えば、ただ豆腐を焼いただけの料理も
『黄金色に焼き上げた限定木綿豆腐のステーキ
 薫り高いローズマリーを乗せて召し上がれ』
などと言いながら食卓に出せば、
お子様や旦那様の目が輝き出すこと請け合いである。

ちなみに「限定木綿豆腐」というのは
お豆腐をスーパーで買った時、
あと数個しか残っていなかったという意味である。

ピクトさんとまったく関係のない話で申し訳なかったが、
たまには遊ばせてくれたっていいじゃないか、
私だって遊びたいときがあるんだっ、
自由って一体なんだっ、と
やや逆ギレぎみに呟きつつ、このへんで終わりにしたい。