かけこみ系ピクトさん

かけこみ系は単純そうに見えるが、意外とバリエーションが豊富である。



非常口に向かって走る。



駅のホームで走る。



電車に向かって走る。



そして足をはさまれる。



そして手を打つ。



遊園地で走る。


 
ボールを追って走る。



何かに追われて走る。



車椅子を押して走る。



スーツを着て走る。



肩・腰・膝に負担をかけながら走る。



新聞配達をしながら走る。



モデル人形っぽく走る。



火災から逃げる。



天変地異の中を走る。



とことん走り続けるピクトさん。
体力はもつのだろうか。
心臓は大丈夫だろうか。

かけこみ系ピクトさんを見ていると、
人というのは
やたらと急いで生きているのだな、と感じる。
「急いで生きる」と「生き急ぐ」は
よく似ているが、かっこよさが全然違う。
「生き急ぐ」は、なんとなくアーティストっぽい。
命がけで何かに取り組んでいるような印象を受ける。
しかし「急いで生きる」は
なんだか生活に追われている感じがする。

「あいつは生き急いで死んじまった」と言えば
天才ロックミュージシャンのようだが、
「あいつは急いで生きて死んじまった」だと
急にサラリーマンの過労死みたいになってしまう。
あなたはどちらを選ぶだろうか。
私だったら、やはり「生き急ぐ」ほうがいい。

・・・いやいや、
つい二者択一にしてしまったが、
よく考えるとどちらも早めに
死んでしまっているではないか。
どっちもイヤだ。
自分で仕掛けた言葉のマジックに
自分で引っかかってしまった。

何が言いたかったのかというと、
自分の体に大きな負担をかけながら
人々にメッセージを発し続けている
かけこみ系ピクトさんは、
「急いで生きて」いるのであり、
また同時に「生き急いで」もいるのである。



その他のかけこみ系