犯罪系ピクトさん

裁判長、情状の酌量を。



サッカースタジアムで暴動を起こす。



  不法に国境を越える。



  空き巣に入る。



自販機を倒す。



自販機を蹴り壊す。



窓から侵入する。



許可なく物を売る。



変質行為に及ぶ。



核燃料製造工場に忍び込む。



刺す。



私は男性なので、街中でひとり
カメラを取り出している時、
「人から怪しまれるのではないか」
という危惧が常にある。
以前、駅のホームでピクトさんを見つけた時は、
カメラを出すのを一瞬躊躇した。
こういうご時世である。
間違って捕まったりしないだろうか、と考えることもある。

心配なのは「キミ、そのカメラはなんだね」
と問いつめられた時、
自分のやっていることを
どう説明していいのか分からないことだ。

「日本ピクトさん学会と言いまして・・・」
「なに?そんな学会、あるわけないだろう!」

信じてもらえそうにない。
しどろもどろになっているうちに、拘置所行きである。

しかしそんな時でも、きっと私は
拘置所内でピクトさんを探すに違いない。
「脱走禁止」とか見つけて喜ぶ私。
看守の携帯を借りて撮影しようとする私。
そして鑑定にまわされる私。

現実にならないよう、注意して生きていきたいと思う。



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